平成26年度 木造住宅等地域材利用拡大事業
広島県木造住宅生産体制強化推進協議会
実施概要
① 住宅内装地域材支給(プレゼント)事業
新築・リフォーム等にあたり,一定の規模以上の面積の内装材に地域材を使用した場合,施主に原材料を支給。
新築:50㎡以上の使用につき,上限20万円相当の原材料
増改築:25㎡以上の使用につき,上限10万円相当の原材料
② 地域材住宅等普及展示会・シンポジウム
県産材の木造住宅づくりに取組む県内建築業者や建築物における新たな木材の利用方法の促進の取組みをしているNPO法人によって木材利用の展示やシンポジウムを開催。
③ 広島県域木材需給調査
県産材流通に係る川下側の需要内容の把握と,川上側の供給能力及び意識の把握調査を行い,地域材活用に繋がる方策を検討。
④ 「木でつくる広島」DVDのTV・CM
(一社)広島県木材組合連合会が,平成25年度に製作たDVDをさらに活用するため,再編集し,TV・CMの放映による木材の利用拡大のPRを実施。
⑤ 「地域材+人材」を活用した木造建築物設計のための木構造基礎講座
建築物の木造化に対応できる設計者が少ない現状から、木の特性を踏まえた構造計画と構造計算の基本を習得し、木材や県産材の理解とともに今後の木造建築の設計促進に繋げる。
⑥ 県産材利用住宅見学会
木材を生産する林山地と県産材を積極的に利用した木造住宅づくりに取り組む工務店等が建設した住宅を見学し,地域の資源を活用した住宅の魅力,木造住宅の良さをPR。
⑦ 木造住宅講演会
建築技術者等を対象に,地域材を利用した木造住宅の取組について事例とともに今後の展望についてセミナー形式で講演会を開催。
⑧ 木材を活用したイベント事業
他のイベント会場において,地域材利用に関するパネル展示とともに,特に子供たちを対象とした木工製作や遊び(万能椅子製作,クイズラリー,木材で製作した迷路)等を企画し,木材,木造住宅等の知識習得や木材利用の啓発を行う。
得られた効果
① 県内23市町の7割にあたる16市町で事業活用があった。施主から高評を得るなど住宅内装の木質化にむけた普及啓発、工務店の営業ツールとして一定の効果があった。
② シンポジウムやトークセッションでは、県内の建築士や建築を学ぶ学生に最先端の技術開発、県産材利用の情報提供等により木の可能性と魅力について認識が深まり啓発効果が実感できた。
また、5日間の開催で、2700名を超える来場があり、特に子育て世帯の入場が多く、木の住まいや県産材の情報提供を通して啓発ができた。
③ アンケート調査等を通して今後木材需給動態予測をまとめた。バイオマス発電への木材利用が顕著な中、スギ、ヒノキの人工林の建築用資材主体の振興策のみならず、未利用資源の有効活用策や、里山の広葉樹の活用策を含めて、今後の木材産業の振興方策や経営戦略を探る基礎データ収集の観点から一定の成果があった。
④ 特別番組やCMの視聴者から映像内容の高評価の声が多数寄せられ、録画DVDが地区団体の行事等に活用されるなど注目度も高く一定の効果があった。
⑤ 25名の建築士が全5回の講座を受講し技術習得ができた。講座終了後も熱心な質問等があり、木構造をテーマとした講座として大きな成果が得られた。
⑥ 52名の参加者があった。山林の伐採現場から木材の乾燥工場、県産材を使用し意匠的にも優れた住宅作品の見学を通して、木材生産過程の実態、木造建築物の魅力が見学者に伝わり啓発効果が認められた。
⑦ 124名の聴講。木造住宅設計に加えて家具デザインも設計される住宅建築家の講演内容は、施主の依頼に対し丁寧に向き合い、周辺環境との調和や木材を活かした住宅と家具設計をどのような過程をとおして実現するかというもの。
豊富な木材・木造の知識が、地域にあった暮らしやすい家づくりに繋がるということが、改めて建築士にも一般市民にも認識され啓発効果があった。
⑧ 「平成27年度住生活月間」関連行事、「ぺあせろべ2015」の関連行事で実施し、其々の会場で、2000人以上、1200人といった来場者で賑わった。
特に、子供を対象としたイベント(木材を使った巨大迷路、ちびっこ工務店体験等)を通じて次世代を担う子供たちにむけて、住まいに係わる木材や伝統に触れる機会を創出することができ、木材の魅力を発信することができた。
今後の課題と次年度以降の計画
- 市街地中心部から離れた場所での催しでは、当初見込みの来場者数を下回ったことから、展示会等について、より多くの県民、市民が来場できる会場選定を心掛ける。
- 幅広い層への啓発活動が求められるが、特に子育て世帯、次世代を担う学生等の若年層への啓発が重要と考える。今後も、子供、学生等の若い世代や地域の市民が参加できる企画を検討する。
- 地域の木材需要動向を踏まえ、地域材の建築用資材への活用方策を進める必要が ある。このため、現場と消費者の双方の立場から、地域の実情を考慮した市場の在 り方について具体的な地域において検討を試みたい。
- 建築技術者、とりわけ設計者の木造建築の設計技術習得が課題であり、引き続き木材を活かした設計のありかたや木造建築物の構造設計に係る講習を実施したい。
- 魅力的な木造住宅設計や施工事例に触れることは、木造建築促進に繋がる有効な方法と捉え、設計コンクールや地域材を使った魅力ある木造住宅の展示会を企画したい。
記録写真
会場風景
万能イス製作 50名
県産材ヒノキを使用して,万能イスを製作し,道具の使い方や片づけまで,子どもたちが実体験を通して,学ぶ場となった。
木製コースター製作 150名
国産の杉でできたコースターにモザイクタイルを貼りつける簡単な工作を実施し,小さな子どもから大人まで体験していただくことができた。
記念品 50名
県産材のヒノキを使用した入浴木セット。
木材活用啓発DVD放映
DVD「木でつくる広島」(一般社団法人広島県木材組合連合会製作)を放映し,会場来場者に随時視聴していただき,木材活用の啓発の場とした。
木製パネル展示
会場内において,展示等の下地に木製パネル(ラティス)を使用した。また,森林の循環及び木材利用を促進するパネルを展示するとともに,県産材・地域材の利用等を評価項目に含む「ひろしま住まいづくりコンクール2014」の受賞作品パネルを展示し,県産材・地域材の活用の普及促進を実施した。