平成26年度 木造住宅等地域材利用拡大事業
徳島県木材協同組合連合会
地域材の利用拡大の核となる展示施設整備
徳島すぎの家in すぎ製品の展示施設
概要
集客力が高い徳島駅ビルの一角を活用し、徳島すぎを展示・PRする木質内装スペースを整備した。常設機能として「徳島すぎの家」を普及する住宅無料相談会を3回行った。なお、特設機能として木のおもちゃで遊べる木育広場を併設。小さいお子さんから中高生まで人気のコーナーであった。
事業実施により得られた効果
平成27年4月22日(水)からオープンし10:00~18:00の間は説明員が常駐し様々な相談に対応した。週末は、住宅建築やリフォーム・リノベーションを考える方が来場されることが予想され,工法や単価など専門的な相談内容にも対応できる体制として、土曜日、日曜日は専門技術者を配置した。地域材に関する幅広い質問や寄せ意見が寄せられた。丁寧に対応することで、地域材の入手方法、特性や適正な価格を理解してもらい、地域材利用拡大に向け効果があった。
第1回6人の木の家設計家コレクション H27.6.6(土)
第2回6人の木の家設計家コレクション H27.7.26(日)
第3回6人の木の家設計家コレクション H27.9.27(日)
(上記、全てクレメントプラザ4Fイベント広場にて)
相談内容
- ○木に興味はあるがどこで情報を仕入れたら良いか分からない。
- ○木製品や木工事、木造住宅の適正価格が分からない。
- ○大手住宅メーカーと何が違うのか。
- ○マンションのリフォーム(木質化)についても相談あり。
今後の課題と次年度以降の計画
県内唯一の「徳島すぎ」の相談窓口として定着しつつある、徳島県事業や自主財源の活用により、継続して平成28年9月まで常設展示の延長を行い、引き続き県産木造住宅や県産材を使った商品を中心とした需要拡大を進めていく。また、今回の事業成果をタウン誌やマスメディア、SNS、常設展示を活用し周知を図り、目的意識の高い集客増を目指す。
地域材を活用したモデル的住宅設計パターン作成
次世代ウッドリノベーションプラン開発
概要
空き家の増加が問題となっている、また、従来の新築中心の住宅取得から、今後は中古住宅を購入してリノベーションを行うなど、既存の住宅ストックを有効活用していくことが、課題となる。県内の住宅ストックを有効活用するために、県内の若手「6人の木の家設計家」と連携して、リフォームやリノベーションを考える施主に対し,説明するツールとして,県産材を活用したリノベーションプランを開発した。「6人の木の設計家」と連携して、県産材を活用したリノベーションプランを開発した。
事業実施により得られた効果
リノベーション候補者を県内で公募したところ、多数の申し込みがあり,その中から6つの事例を選んでリノベーションプランを作成した。県産材をできるだけ活用し、これからは必須要件となっているバリアフリーや耐震・省エネ性能向上に配慮したリノベーションプランを開発したところ,5件が改築工事を行い、地域材を活用した次世代のウッドリノベーションを促進する事が出来た。
今後の課題と次年度以降の計画
県や市町村が取り組んでいる「空き家対策」等と上手く連携を図り、今回開発したウッドリノベーションプランを活用し,既存住宅の持つ特性を活かしつつ,より良い住環境の創出を行えるようにして行きたい。
地域材活用のキャンペーン実施
木の仕事(WOOD JOB)見学ツアー
概要
消費者が目にする機会の少ない「徳島すぎの家」が建設される工程(伐採、搬出、流通、製材、加工、住宅施工まで)を実際に見て体験するツアーを開催し、地域材活用の意義を理解してもらった。さらに、木の良さを発揮した住宅づくりへの理解を深めるため、各分野の専門家を講師に招いた「健康に暮らせるための木の家づくりセミナー」を開催した。 また、「徳島すぎの家」の居住性意識・行動調査や「徳島すぎ」のブランド化を図るために各種機能性調査を取りまとめ、見学ツアーを含めた「徳島すぎの家」をPRする ビデオを作成し普及を図った。
事業実施により得られた効果
木の仕事(WOOD JOB)見学ツアーの開催
- ○製品市場→プレカット工場→「木づかい全国キャラバン」イベント見学 H27.6.6(土)
- ○大工仕事体験→徳島すぎの家見学 H27.8.2(日)
- ○山の楽校+森林ふれあい体験バスツアー H27.8.22(土)~23(日)
- ○木造住宅耐震改修現場体験バスツアー H27.9.13(日)
- ○伐採・木造住宅見学バスツアー H27.9.20(日)
- 健康に暮らせるための木の家づくりセミナーの開催
- ○ヒートショックをおこさせない住宅のつくり方 H27.7.19(日)
- ○健康であるための住宅のつくり方 -小児科医の体験を通して- H27.8.2(日)
- ○化学物質を生じさせない住宅のつくり方 H27.9.6(日) 全てクレメントプラザ4Fにて開催
今後の課題と次年度以降の計画
ある程度地域材に興味を示している、もしくは理解がある人には一定の効果が望めるため、場所・時期・住宅に関する旬のトピックスを考慮しながら続けていきたいと考える。
地域材活用のキャンペーン実施
徳島県木材認証材インセンティブ
概要
構造材や内外装材に徳島県産材を使った住宅プランの募集を行い、優秀な住宅に対して全国で実施されていた「木材利用ポイント事業」の仕組みを活用し、施主へ1軒あたり一定以上の構造材利用で30万円、内外装材への使用面積に応じて上限30万円の併せて60万円の構造材・内外装材等を提供した。なお、提供材料には合法木材をベースとした徳島県木材認証制度「産地証明書」の提出を義務づけることとして地域材・合法木材の需要拡大を図った。
事業実施により得られた効果
この制度を活用することにより、消費増税後に落ち込んだ住宅着工数を微増させるきっかけになったと思われる。また、優良事例をWEBで公開することにより、地域材を活用した木造住宅の良さを普及する効果があった。
今後の課題と次年度以降の計画
この制度は大変ありがたく是非継続して欲しいとの声が多かった。 要望として、事業のルールを分かり易くし、申請書類をもっと簡素にして欲しいという意見もあった。 また、木造住宅着工増への高い効果を狙うには、早めの周知を行い、事業期間を出来るだけ長く取り、複数年継続して行う事も必要と思われる。予算的な確保が出来れば、是非引き続き行いたい。
地域材活用のキャンペーン実施
大工育成ネットワーク化支援事業
概要
県産材を使った木造住宅を推進するためには、建てる技術者 ― 大工 ― は無くてはならない、しかし近年では後継者不足や技術力・賃金の低下が深刻な問題となっている。徳島県木造住宅推進協議会との連携により、大工になりたい人や若手大工が安心して情報交換が行えるネットワークを構築し、県産材を使ったスキルアップを図れるよう実技講習会を開催し、大工後継者育成と増加を図った。
事業実施により得られた効果
徳島県木造住宅推進協議会との連携により、大工になりたい人や若手大工が安心して情報交換が行えるネットワーク「阿波木匠会」を構築し、各種イベントに参加する事で大工技能の普及と活動への理解を深めてもらう効果があった。
- ○建築士のイベント ~ 建築の古今、そして未来は・・・ ~ H27.7.18(土) 徳島県建設センター
- ○大工さんを体験しよう! H27.8.23(日) クレメントプラザ4Fイベント広場
- ○子供上棟式とカンナがけ体験 H27.10.3(土)・4(日) 徳島市藍場浜公園そして、県産材を使って大工技能のスキルアップを図れるよう実技講習会を開催し、大工後継者育成と増加を図った。
- ○大工の技術講習実践規矩術 H27.9.5(土)・6(日) ポリテクセンター徳島
今後の課題と次年度以降の計画
現在の木造住宅は、激化する価格競争から工期短縮が余儀なくされている。そのため、現場加工より工場加工、無垢材より新建材、手刻みよりプレカットという傾向が強く、大工技能を発揮出来る機会が非常に少ない。そのため、大工技能が必要となる現場の確保と同時に大工技能者就業の場も必要となる。
合住宅等への地域材需要拡大
概要
住宅への地域材活用をより促進させるため、戸建住宅以外の集合住宅にも地域材利用を提案した。大きな開口や空間を確保しやすいプレカットトラス式による木造集合住宅、集合アパート、グループホーム、校舎や武道館への提案や構法の普及啓発を行い、建築用途に沿った無理のない木造化を推進し、徳島県の地域材である「徳島すぎ」の愛好家増を目指した。
事業実施により得られた効果
今後、人口減少に伴い住宅着工も比例すると思われる。地域材活用をより促進させるためには、戸建住宅以外の集合住宅への地域材利用が必要と考える。大きな開口や空間を確保しやすいプレカットトラス式による木造集合住宅を提案し、木材利用促進法の施行により確実に公共建築物での木材利用が必要となるため、県内全ての市町村に向けて普及活動を行った。これにより、ファーストチョイスで木造が外される事を減らし、木造建築での可能性を広げる効果があった。
今後の課題と次年度以降の計画
市町村長に向けて普及活動を行った際の意見として「鉄骨造が坪単価15~20万円に対し坪単価25万円以上は少し高い。」「人口規模が減少する田舎の地方自治体は、将来のことを考慮して出来るだけ後の維持管理に手間と経費がかからない事を念頭にしている。プレカットトラス式はこれに逆行する様に思える。」があった。そのため、徳島県内で集合住宅等のスムーズな木造化を図るには、今後、これらの意見に応えられるような対策が必要である。価格は多くの自治体・多くの案件で利用してもらう事により、スケールメリットを出して行くことで対応する。維持管理は金物・薬剤の改良や開発、また、木材を風雨にさらさない・木材部に水がたまらない様な設計・施工も必要である。