第10回「新たな木材利用」事例発表会を開催しました
第10回「新たな木材利用」事例発表会の概要
第10回「新たな木材利用」事例発表会は、平成31年2月12日(火)13:30~16:30、木材会館7階ホールにおいて、木材関係業界のほか、建築・設計、土木、家具・建具、行政・地方公共団体 等幅広い業種の方々を含め、総計100名の参加を得て盛会裏に終了しました。
ここに関係各位の皆様に厚くお礼申し上げます。(概要及び発表データはこの下にあります。)
鈴木会長主催者挨拶 |
林野庁近藤木材産業課課長補佐挨拶 |
当日の発表データ(会場配布資料と違う内容のものがあります)は、次のとおりです。
〔次 第〕
(第1部) 「基調講演」 13時40分~14時40分
「地域材を使った省エネ性能の高い木造建築物の設計手法」
~腐らない、地域材を使った省エネ木造建築 熱と水蒸気の流れを考える~
【講 師】 | 有限会社西方設計 代表取締役 西 方 里 見 氏 |
【概 要】 | 地域の建築物は、社会資本であり、人の健康(温熱・空気質)、建築の健康(耐 震・耐久)、環境の健康(持続可能・省エネ)が重要であること、大型木造建築に一般流通地域材製材品を多用することでコストダウンが図れることの前置きがあり、秋田県の「道の駅ふたつい」に、4寸×8寸×長3mのスギ製材で構成したアーチトラスの材料・建築・施工事例の詳細な説明があった。また、能代市立第四小学校、能代市市営住宅、国際教養大学宿舎等の事例、熱環境、躯体性能等についてデータに基づく、詳細な説明があった。 |
〔講師略歴、連絡先等〕
略歴
1975年 室蘭工業大学建築工学科卒
青野環境設計研究所入所
1981年 西方設計工房を開所
1993年 改組し、有限会社西方設計を設立
2004年 設計チーム木(協)代表理事に就任
主な受賞歴
2007年 「木の建築賞」優秀賞 2作品受賞(設計チーム木)
2008年 「サステナブル住宅賞」国土交通大臣賞 受賞
「東北建築賞」作品賞 受賞(設計チーム木)
「JIA環境建築賞」優秀賞 受賞(設計チーム木)
2016年 「エコハウス・アワード」エコハウス大賞 受賞
有限会社西方設計所
〒016-0000 秋田県能代市字塞の神73番地
TEL 0185-52-9606 FAX 0185-54-2124
URL: https://www.nisikata.co.jp/
〔発表データ〕
(第2部)「木材を使った街づくり」事例とその評価
ア 木になるリニューアル「東急池上線戸越銀座駅舎」 15:00~15:30
~90年ぶりの木造駅舎リノベーションの新たな取組と挑戦~
【発表者】 | 東京急行電鉄株式会社 鉄道事業本部 工務部施設課 課長補佐 杉山 圭大 氏 |
【概 要】 | 開業から88 年が経過し老朽化した木造駅施設リニューアルの価値最大化を図るためのプロジェクトとして、2015 年9 月から取組んだ戸越銀座駅の(1)木造上家建替工事、(2)地域連携・地域貢献施策、(3)東急池上線全体での取組について報告があった(竣工2016 年12 月11 日)。木造上家建替工事については、材料に東京都多摩産のヒノキやスギを使用、部材をパーツ化し、現場でそのパーツを嵌合させ大きな空間をつくるシザーストラス構造を採用した。この構造を採用した経緯として、既存上家の機能を活かしながら新たな上家を構築すること、狭隘な箇所での施工のため人力作業で行えること、さらに鉄道工事のため終電から始発までの約2時間の限られた時間の中で施工が可能なことなど、様々な検討を行ったことが報告された。プロジェクトの地域連携・貢献については、旧駅舎の廃木材を活用し、地域の方々に協力を得て作成したメモリアルボードや、新しい上家に使用する木材の原産地での見学会など、駅のへの愛着を深める取組を報告。東急池上線全体での取組としては、旗の台駅の「木になるリニューアル」、池上駅の「池上開発計画」などの事業内容について報告がされた。 |
〔講師略歴、連絡先等〕
略歴
2006年 東京急行電鉄株式会社 入社
鉄道事業本部 工務部(土木担当)配属
東横線渋谷駅地下化工事、田園都市線たまプラーザ駅改良工事等に従事
2013年 東京都 都市整備局 派遣
2015年 鉄道事業本部 工務部(建築担当)配属
池上駅開発計画、旗の台駅上家建替工事等に従事
東京急行電鉄株式会社 鉄道事業本部 工務部 施設課 多摩川工事事務所
〒145-0071 東京都大田区田園調布1丁目53番9号 TEL: 03-3721-2831
〔発表データ〕
イ 潮来小学校 木造校舎のスタンダードへ 15:30~16:00
【発表者】 | 茨城県潮来市役所 生涯学習課 課長補佐 吉川 増夫 氏 |
【概 要】 | 潮来小学校の老朽化が激しく、平成21年の耐震診断、22年の耐力度調査の結果、校舎の改築が決定し、RCの校舎を想定し、12月27日にプロポーザルによる設計業者を選定したが、23年1月に市長との協議で、予算はそのままで校舎を木造とすることが決定したが、設計業者は木造の経験が少ないことから、当時の東洋大学の長澤先生と東京大学の稲山先生に、設計の協力依頼を行い、木造化の目途がたった。 木材使用量は、構造部が445.61m3、その他造作等が107.02m3、合計552.63m3で、工期短縮の手段として、6m以下の一般流通材のみ使用し、住宅用の機械プレカット、住宅建築用の接合金物を使用、地元の大工が参加できる単純な施工方法とし、その結果、1億4千万円のコスト削減を実現した。潮来小学校方式は、工期の短縮、コスト削減が可能で、木造校舎のスタンダードになると締めくくった。 |
〔講師略歴、連絡先等〕
略歴
1967年 茨城県潮来市生まれ
1990年 東洋大学工学部建築学科卒業
1990年 牛堀町役場入庁(合併により潮来市役所職員)
現在は、潮来市教育委員会生涯学習課長補佐兼中央公民館副館長
一級建築士、剣道教士七段、潮来市剣道連盟会長
いたこニホンミツバチの会会員
〔発表データ〕
ウ 「外構分野への国産材活用事例」 16:00~16:30
【発表者】 | (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 木材改質研究領域長 大村 和香子 氏 |
【概 要】 | 外構分野で利用されている地域材の活用事例、野外暴露試験結果などを報告。木材を腐らせないためには、木材を適切に乾燥してから使うこと、丸太や角材の場合は、適切な背割りを行うこと、保存薬剤を加圧注入した場合、野外暴露15年でも健全な状態を維持するのに対し、無処理の場合、野外暴露3年程度で激しく劣化することなどを報告。板材の活用先として外構分野は有望であり、(1)水の侵入・滞留防止(笠木の活用、接合部、適切な隙間、水が滞留しない木取り)、(2)防腐薬剤等による菌類への抵抗性付与、(3)美観の維持(木材保護塗料の利用)等により、軽くて、丈夫で、長持ちする材料へと結んだ。 (参考) 日本木材防腐工業組合(http://www.jwpia.or.jp/)木塀の手引を発刊されています。 http://www.jwpia.or.jp/files/lib/4/27/201812281356571633.pdf |
〔講師略歴、連絡先等〕
1993年 京都大学大学院 農学研究科 林産工学専攻 博士後期課程 中退
1993年 農林水産省林野庁森林総合研究所入所
現在 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
木材改質研究領域 領域長
主な受賞歴
2000年 日本環境動物昆虫学会 日本環境動物昆虫学会奨励賞
「蒸煮カラマツ心材抽出物を利用したイエシロアリ防除への応用基礎研究」
2001年 日本木材学会 日本木材学会奨励賞 「シロアリの行動に影響を及ぼす木材成分の探索とその成分を利用する防蟻システム構築の試み」
2014年 日本環境動物昆虫学会 日本環境動物昆虫学会学会賞
「シロアリの感覚と行動に関する総合的研究」
〔発表データ〕
連絡先:(一社)全国木材組合連合会、木材利用推進中央協議会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-4-3 永田町ビル6階
TEL:03-3580-3215 FAX:03-3580-3226
URL
(一社)全国木材組合連合会 http://www.zenmoku.jp/
木材利用推進中央協議会 http://www.jcatu.jp/home/