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第16回「新たな木材利用事例発表会」(木材表示と合法木材について)の概要
 
 第16回「新たな木材利用事例発表会」(木材表示と合法木材について)を、令和7年2月19日(水)13:30~16:20、木材会館7階大ホールでの会場参加とWEB参加との併用により開催しました。
 木材関係業界のほか、建築・設計、土木、家具・建具、行政・地方公共団体等、幅広い業種の方々を含めて会場約60名、WEB約170名のご参加をいただきました。
 開催にあたりまして、多大なご協力・ご支援をいただきました関係各位の皆様に厚く御礼申し上げます。


1  開催日時等
日  時 :令和7年2月19日(水) 13時30分 ~16時20分
場  所 :木材会館(東京都江東区新木場1-18-8) 、WEB併用開催
主  催 :一般社団法人 全国木材組合連合会、木材利用推進中央協議会、
 一般社団法人木材表示推進協議会、一般社団法人国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会
後  援 :林野庁、国土交通省、(公財)日本住宅・木材技術センター、
 (一財)日本木材総合情報センター
参  加 :木材関係、建築・設計、土木、家具・建具、行政・地方公共団体等
 会場 約60名、WEB 約170名

2  事例発表
 ○復活のチャンスを迎える日本林業~カギは国民理解の下での適正な立木価格の形成~
    (一社) 国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会 肥後賢輔 事務局長

 ○国産木材活用住宅ラベルの取組
   (公財)日本住宅・木材技術センター 金子 弘 専務理事
 
 ○森から住宅を考える2025~柱の行く道・これからの住宅木材はどうなるのか~
    株式会社千葉工務店(埼玉県越谷市) 千葉弘幸 代表取締役

3  情報提供
 ○クリーンウッド法の改正について
    林野庁林政部木材利用課 坂本朋美 課長補佐

4  国産材マークの譲渡式
 ・(一社)全国木材組合連合会 菅野康則 会長
 ・(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会 前田直登 代表理事
   (菅野会長挨拶、前田会長挨拶、譲渡書署名、記念撮影、譲渡書の受け渡し)


<当日の講演・パネルディスカッションの動画及び講演資料など、以下のとおりです>

当日行われたYoutube配信のアーカイブ動画は以下から視聴できます。
https://youtu.be/6E2wHlQYfak  

当日行われた講演 の資料は次のとおりです。
[事例発表]
 「復活のチャンスを迎える日本林業~カギは国民理解の下での適正な立木価格の形成~」
  (一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会 肥後賢輔 事務局長
  〔講演データ〕https://www.zenmoku.jp/ippan/ivent/455/files/250219_1.pdf

 「国産木材活用住宅ラベルの取組」
  (公財)日本住宅・木材技術センター 金子 弘 専務理事
  〔講演データ〕https://www.zenmoku.jp/ippan/ivent/455/files/250219_2.pdf

 「森から住宅を考える2025~柱の行く道・これからの住宅木材はどうなるのか~」
   株式会社千葉工務店(埼玉県越谷市) 千葉弘幸 代表取締役
  〔講演データ〕https://www.zenmoku.jp/ippan/ivent/455/files/250219_3.pdf

[情報提供]  「クリーンウッド法の改正について」
   林野庁林政部木材利用課 坂本朋美 課長補佐 
  〔講演データ〕https://www.zenmoku.jp/ippan/ivent/455/files/250219_4.pdf


[事例発表]
○復活のチャンスを迎える日本林業~カギは国民理解の下での適正な立木価格の形成~
   (一社) 国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会 肥後賢輔 事務局長

【概要】

 一般社団法人国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会においては、再造林を進めるための立木市場を構築することとして、オープンな立木取引の場をインターネット上に設定する取組を始めており、本講演ではその取組の目的や取組状況について説明されました。
 新たに始めた立木取引システムでは、立木取引をオープンにして森林所有者の納得のいく形で取引の場を提供するとともに、立木価格が低く森林所有者の経営意欲が失われている状況下で再造林を確保し持続的な森林経営が可能な状況を生み出すことを目的とすることが述べられました。そして、この新しい立木システムでは、こだわりとして、森林所有者の出品の条件として、再造林とその後の保育等の経営の持続、境界の明確化などが求められ、買受者は製材、集成材、合板、バイオマス関係事業者などグループとなっての取組が可能であるとの説明でした。

 昨年、令和6年12月に立木取引システムのホームページを立ち上げ、高知県仁淀川町、福島県古殿町においていずれも町有林の2件が立木取引の対象として登録されていることが紹介されました。立木価格は高知県仁淀川町が約9,400円/㎥、福島県古殿町が約14,200円/㎥で、通常の立木取引価格3,000円~3,500円/㎥に比べるとかなり高額となっていることも併せて述べられました。
 次いで、国際的な環境では、持続性の担保された木材の活用に大きく動き出しており、欧州においては、持続可能性の確保が木材価格にも反映されたうえでの持続可能な木材利用の流れが大きくなっており、我が国でもこのような世界の潮流を踏まえた取組を行うことの意義が、山の価値が上がること、山を見る目が変わることとも関係づけて述べられました。

 最後に、本日の事例発表会の後に予定されている国産材マークの(一社)全国木材組合連合会から(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会への譲渡式に関連して、国産材マークの譲渡を受けて今後は持続可能性(Sustainable)を意味するSのついた国産材マークを普及させていくこととし、令和7年度からは立木取引システムも補助なしで自立して運営し、消費者などの関心を呼んでいくよう取り組んでいくことが述べられて講演を終えました。




○国産木材活用住宅ラベルの取組
   (公財)日本住宅・木材技術センター 金子 弘 専務理事

【概要】

 講演は、国産木材活用住宅ラベルとは、から始まり、国産木材活用住宅ラベルでは、国産木材の使用量による「国産木材活用レベル」、「スギの使用量」とともに、使用した木材による「炭素貯蔵量」等を表示し、これらの表示で国産木材の産地がわかる、国産木材の使用量の程度がわかることになり、また、このラベルは、戸建住宅、共同住宅、併用住宅が対象であり使用は無償との紹介がありました。
 そして、国産木材活用住宅ラベルのねらいとして、住宅事業者が自社のSDGsの推進等への貢献を示すことができる一方で消費者は建築・購入する住宅選択の判断への活用が期待されることがあげられました。
 次いで、国産木材活用住宅ラベルによる効果・役割として、第1に国産木材活用の意義として、国産木材の利用を通じた森林資源の循環利用による森林の多面的機能の発揮や国内産業・地域振興への寄与、花粉発生源の対策、炭素の貯蔵・CO2排出削減、木材・スギ材の建築資材としての優れた特性の発揮といった点が説明されました。効果・役割の第2として、住宅への国産木材活用による効果の「見える化」、第3として、木造住宅におけるスギの使用量・住宅の炭素貯蔵の試算について説明がありました。

 この後、国産木材活用住宅ラベルの表示内容として、①国産木材活用レベル、②スギの使用量(花粉症対策)、③キャッチフレーズ、④住宅の炭素貯蔵量、⑤活用する木材に係るその他の情報、⑥建物名称、⑦住宅生産者名、⑧表示年月日について紹介されました。このうちキャッチフレーズについては、国産木材活用レベルが2又は3(国産木材が過半を占める)場合、国産木材を多く活用している住宅であることを示すキャッチフレーズを記載できることの説明がありました。資料においては、「カーボンニュートラルや花粉症対策に貢献しています」とのキャッチフレーズが掲載されていました。

 講演の終盤には、国産木材活用ラベルの利用にあたって、ラベル掲載シートを用いた活用レベルや炭素貯蔵量の算定、ラベルのHPへのログイン方法、ラベルの種類などの説明があり、併せてラベル活用事例の紹介とともに国産木材活用住宅ラベルの利用の呼びかけがあり、講演の締めくくりとなりました。





○森から住宅を考える2025~柱の行く道・これからの住宅木材はどうなるのか~
   株式会社千葉工務店(埼玉県越谷市) 千葉弘幸 代表取締役

【概要】

 冒頭、講師の経歴について、設計事務所に就職後、工務店に転職し、その後、
96年:協同組合匠の会の「自然素材で建てる健康住宅フェア」を銀座で開催
97年:協同組合匠の会にて山長商店との協力提携による紀州の森・産直「樹の家」を発表
2001年~2005年:神楽坂にて森から住宅を考える展示開催
2005年:紀州・龍神の森の樹齢100年生の木を使った出荷証明書付き限定100棟の販売
2007年~2014年:協同組合匠の会による子供達の木や森林とのふれあい・活動である「匠の森プロジェクト」を指導
2021年:制限時間内で木片を積み上げる「ウッドアクション2021 つむつむ選手権」がウッドデザイン賞受賞
など、一貫して木や森林と積極的に関わってきた活動が紹介されました。

 続いて、自身が携わる工務店について、ハウスメーカーと異なり工務店では、比較的狭い営業エリア内で建築主の要望や条件に合わせた自由設計が可能となっている一方で、新設住宅の着工棟数は減少しており、地元の埼玉県でも工務店の廃業が見られる中で、自社においては県産材利用補助金も活用し県産材利用を進めていることなどが説明されました。
 また、木材の仕入れ価格について、この1、2年で部材によって下落が見られることにも触れられ、事例紹介として2024年1月竣工の平屋建築物について3千万円で契約し、その6分の1程度が構造材の経費となったことの説明がありました。建築材料となる部材がどこから来ているのかを殆どの部材について把握しており、また、環境性能についても把握していることの言及がありました。
 国産材を使っていることのアピールについては、それなりの底力になっているとともに、顧客に対して仕入れ先などを提示することもポイントとなっているとの説明がなされ、講演を終えました。




○クリーンウッド法の改正について
   林野庁林政部木材利用課 坂本朋美 課長補佐

【概要】

 事例発表に続いて、クリーンウッド法の改正について情報提供をしていただきました。
 まず、クリーンウッド法の制定・改正の経緯として、違法伐採問題への国際的な機運の高まりや更なる取組の強化があり、法令に適合して伐採された木材や木材製品の流通及び利用を促進することにより、自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図り、地域及び地球環境の保全に資することを指向するねらいがあることが説明されました。
 次いで、登録木材関連事業者の動向として、登録木材関連事業者は、取り扱う木材のうち第1種で98%、第2種で92%について合法性が確認された木材を取り扱っており(令和4年度)、合法伐採木材を積極的に取り扱う傾向があることが示されました。
 改正クリーンウッド法の概要として、第1種(川上・水際)木材関連事業者は、合法性の確認等を行う義務が、また、素材生産販売事業者は、木材関連事業者からの求めに応じ、合法性の確認に資する情報を提供する義務が生じるとともに、第2種木材関連事業者は、合法伐採木材等の利用を確保するための措置として、情報の要求、情報の伝達等の努力義務が生じることについて説明がありました。

 また、義務対象の考え方、義務内容として原材料情報の収集・整理、合法性の確認、記録の作成・保存、情報の伝達などについて詳しく説明がなされるとともに、罰則規程等についても説明がありました。
 講演の終盤には、改正法の施行日に係る考え方の説明とともに、改正クリーンウッド法に基づく情報の伝達、各種記録の作成・保存、報告書の作成等に活用できるシステムである通称「クリーンウッドシステム」について紹介されました。当該システムは、Webシステムとして無償で提供され、パソコンやスマートフォンで利用できるシステムで、原材料情報や伝達情報の保存や検索が容易になり、令和7年4月から稼働開始との説明でした。
 令和7年4月1日の改正クリーンウッド法施行に向けて、改正クリーンウッド法の概要から実務面に至るまで多岐に渡る内容を、詳しく丁寧にご講演いただきました。





【国産材マークの譲渡式】
  ・(一社)全国木材組合連合会 菅野康則 会長
  ・(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会 前田直登 会長
     (菅野会長挨拶、前田会長挨拶、譲渡書署名、記念撮影、譲渡書の受け渡し)

【概要】
 事例発表会に続いて、一般社団法人全国木材組合連合会から一般社団法人国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会への、国産材マークの譲渡式が行われました。
 (一社)全国木材組合連合会の菅野会長、(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会の前田会長が登壇し、最初に菅野会長より挨拶がありました。

 菅野会長から、はじめに、国産材マークは平成25年(2013年)8月、一般社団法人日本プロジェクト産業協議会森林再生事業化委員会が事務局となって創設され、その後、平成27年(2015年)8月に(一社)全国木材組合連合会が日本プロジェクト産業振興会より「国産材マーク」の商標権等の権利の譲渡を受け、国産材マークの事務局を引き継いだことが述べられました。そして、このたび、(一社)全国木材組合連合会から(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会へ商標権その他の権利が譲渡され、事務局が引き継がれることになるが、今後とも国産材マークが国産材利用、木材利用の推進に貢献するよう関係者へお願いしたい旨挨拶がありました。
   
 次に(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会の前田会長より挨拶がありました。
 前田会長からは、冒頭、この度、(一社)全国木材組合連合会から国産材マークに関する商標権その他権利の譲渡を受けるとともに、事務局を引き継ぐことが述べられました。次いで、(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会において、立木市場のサイトを開設したが、目的として立木取引をオープンにすること、再造林を確保し持続的な森林経営が可能な状況にすることがあり、現在の国産材マークに持続性を意味する“S”(Sustainable)を加味した新たなマークを提供していくことを準備しているが、引き続き国産材マークへのご理解ご協力をお願いしたい旨挨拶がありました。

 続いて、菅野会長、前田会長の順に国産材マーク譲渡書に署名が行われ、両会長が譲渡書を掲げて写真撮影の後に、菅野会長から前田会長に譲渡書が手渡されて、国産材マーク譲渡式の終了となりました。







連絡先:
(一社)全国木材組合連合会、木材利用推進中央協議会、(一社)木材表示推進協議会、
 〒102-0082 東京都千代田区一番町25番地 全国町村議員会館6階
 TEL:03-6261-9134 FAX:03-6261-9133
(一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会
 〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12林友ビル3階
 Tel:03-6801-8931/Fax:03-6801-8932

 URL 
 (一社)全国木材組合連合会  http://www.zenmoku.jp/
  木材利用推進中央協議会  http://www.jcatu.jp/home/
 (一社)木材表示推進協議会  https://fipcl.jp
 (一社)国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会 http://kokusanzaikatsuyo.jp/

 

   
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