2−1 木造住宅関連についての質問 と回答
Q 2−2.5 どのようにすれば木造住宅の安全性は保たれるのでしょうか。 |
A
木造住宅は、軽くて柔軟性に富んだ木という材質によって、建物の重量を支えつ
つ、地震等の水平な力を柔軟に吸収することから、耐震性が強いと言われてきまし
た。ところが、平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災を契機に木造住宅を中心に
建物の耐震性に対する関心が非常に大きなものになっています。本当に木造住宅は
耐震性が強いのでしょうか。また、どのようにすれば安全性を保つことができるの
でしょうか。
[1]素材自体の強さと接合方法
一言に木材と言っても木の種類よって、強さも性質も違います。強度を必要と
しない部分にはどのような木材を使ってもかまいませんが、強度を必要とする
部分には強い木材を使用することが大切です。木造住宅の部材にはいろいろな
種類があるので、木材も種類によって使い分け、適材を適所に使うことが重要
と言えます。また、木造住宅は木材を組み合わせて建てるので、木材どうしが
しっかりと接合されていなければ構造体としての強度は弱くなってしまいま
す。そのためには接合部分を緊結する接合金物を使用したり、ほぞの部分には
隙間のできない精度の高い加工が求められます。このとき、木材が十分に乾燥
されていない場合には、建築後木材が曲がったり、ねじれたりして建物自体が
ゆがみ、接合部のズレなどによって耐震性が低下することがありますので、乾
燥された木材を使用することは言うまでもありません。
[2]地盤と基礎
近年は宅地不足から今まで手つかずだった丘陵地や埋め立て地にも家を建てざ
るを得なくなっています。しかし、一般に建物の重量はその建物の周囲に建物
と同じ幅で影響があると言われていますので、丘陵地を切り盛りして建物を建
設する場合など、建物の幅だけ山側、崖側に間隔をあけなければなりません。
また、その地盤も弱ければ建物の重量を耐えられず沈んでしまうなどの被害が
発生する可能性が強くありますので、十分に気を配る必要があります。具体的
には、軟弱地盤には杭を打つ、布基礎に適正に鉄筋を入れる、建物と基礎を緊
結するアンカーボルトを入れるなどです。
[3]通し柱と壁の配置
通し柱や壁は構造上重要な役割を果たします。柱は垂直荷重を壁は水平荷重に
対し抵抗力を発揮します。しかし、これらが量的に満たされているだけでは、
強い住宅を建てることはできません。バランス良く配置すること、このことが
重要なポイントです。人間だって2本の足があってもバランス良く体重を掛け
なければ立つことができませんよね。住宅でも同じことです。
[4]耐久性と防火性
これまで地震に強い木造住宅の設計のポイントを書いてきましたが、安全性を
保つには、耐久性や火事が起こっても被害を最小限におさめる防火性も忘れて
はならないポイントです。木材には腐る性質がありますので、防腐処理や防蟻
処理は欠かせません。また、光や雨等による劣化や火災時の延焼、類焼を防ぐ
ため、外装などにも気を配り、安全な住まいを長く保つ工夫が必要です。
[5]年をとった時のことも考えた設計
最近はバリアフリーという言葉を良く耳にしますが、私達の身の回りには若い
身体にはあまり意識されないようなさまざまな障害が数多く存在します。階段
や玄関の上がり框、部屋を分ける敷居などの段差があるところなどは、段差を
極力少なくするか、または意識できるほどに大きくして手すりや腰掛けるスペ
ースを設けることなどの工夫が必要です。若いときには気が付かないこのよう
な小さな障害が、長く住み、年をとったときには大きな障害となるのです。安
心して住みたい家の中で、大けがをするなんて恐ろしいとは思いませんか。そ
のときに改築することを考えれば、建てるときにこのような配慮をした方が経
済的です。
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