2−1 木造住宅関連についての質問 と回答
Q 2−3.8 最近、シックハウスという言葉を聞きますが。 |
A1
化学添加物が含まれていない食品への関心が高まり、無添加・健康食品や有機農
業野菜などのブームが巻き起こっていますが、消費者の間では「食」に続いて「住」
分野でも同様の意識変化が生じています。
この背景には、化学物質、カビやダニ、ハウスダストなどによって人体への影響
が発生していることがあります。
特に、近年の新築住宅ではが省エネルギーのため、高気密、高断熱のものが多く
なっています。また、住宅を構成している部材には、様々な化学物質が用いられて
おり、それらから空気中に放出されるVOC(Volatile Organic Compounds:揮
発性有機化合物)による健康への被害が注目されてきています。
このような建物が原因で中にいる人たちに異常な症状が出るケースが、シックビ
ル症候群・シックハウス症候群と呼ばれているものです。
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WHOによるシックハウス症候群の症状は[1]目、鼻、のどの刺激症状、[2]粘膜の
乾燥、[3]皮膚の紅斑、湿疹、[4]疲れやすい、[5]頭痛、[6]風邪にかかりやすい、[7]息
がつまる、ぜいぜいする、[8]めまい、吐き気、[9]いろいろな刺激に反応する等です。
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健康住宅研究会(事務局:(財)住宅・建築 省エネルギ−機構)では、平成10
年4月24日、健康住宅研究会の研究成果として、「室内空気汚染低減のための設計・
施工ガイドライン」と「ユ−ザ−ズマニュアル」をとりまとめられました。
この「設計・施工ガイドライン」は、設計者・施工者を対象として、室内空気汚
染による居住者の継続的な健康影響を低減する住宅づくりを実現するための、設計
・施工時における基本的な考え方や手法を取りまとめたもので、その要点は、
まず設計・施工者が入居者の居住条件や敷地の条件、構法の特性等を把握するこ
とが重要であり、これらを十分に踏まえて、
[1]適切な材料選定を行うこと
[2]現場での適切な施工管理を行うこと
[3]通風・換気へ配慮した設計を行うこと
が入居者の健康影響の低減のために重要であること、引き渡し時には、入居者に対
し、優先取組物資などの室内空気汚染物資による健康被害を低減していくための住
まい方について説明を行うことが重要であること、建材・施工材の選定において
は、優先取組物資( 3物質:[1]ホルムアルデヒド、[2]トルエン、[3]キシレン、3薬
剤:[4]木材保存剤、[5]可塑剤、[6]防蟻剤)を放散しないか放散が十分少ないものを
日本農林規格や日本工業規格あるいは業界団体の定める自主規格、メ−カから入手
できる化学物質等安全デ−タシ−ト等を参考にして適切に選択することが有効であ
ること、接着剤、塗料等の施工に当たっては、種類、使用量を目的に応じて適切に
施工管理するとともに可能な範囲で養生期間をとることが有効であること、換気・
通風への配慮では、風による空気の流れをより効果的に活用できるような位置に窓
や換気口を設けることや、適切な位置に換気設備を設けるほか、工期中または入居
までの間の換気の実施が効果的であること、リフォ−ムに当たっては、ユ−ザ−が
居住しながら現場施工を行う場合が多いため、新築時以上に、使用する建材・施工
材の選択や施工方法、施工管理、工期設定により十分な配慮を行う必要があるこ
と、研究の結果、化学物質の健康への影響については個人差が大きいことや、室
温、湿度、換気などの条件によって室内濃度は大きく変化すること、濃度予測手法
についての研究が進んでおらず未だ困難なレベルにあることから、こうした予測手
法については今後、各方面で取り組むべき研究課題であるとしています。
「ユ−ザ−ズマニュアル」は、住宅に入居するユ−ザ−を対象とし、ユ−ザ−が
住宅を建築あるいは購入する時の配慮点や住宅の選び方、日常の暮らしの上での留
意点等を解りやすくまとめたもので、その要点は、
ユ−ザ−は室内の空気環境に配慮して健康への影響を低減していくための住宅建
築の基本が、
[1]適切な材料選択
[2]適切な施工
[3]換気・通風への配慮
であることを理解して、こうしたことに配慮された設計、材料選択がなされている
か、さらに、建築現場で現実に正しく施工されているかを確かめることが重要であ
ること、日常の暮らしの上では、窓の開放によって自然換気を積極的に取り入れる
ことや、給気口をできるだけ開けた状態にすること、室内ドアを開放して通気経路
を確保すること、窓を閉め切る場合は台所換気扇などを運転することなどの換気へ
の配慮が重要であること、特に、数日間にわたって不在にした場合などは特に換気
に留意することが重要であること、さらに生活の中では建材等以外にも、室内空気
汚染源となる可能性があるものがあり、それらをできるだけ持ち込まない、あるい
は使用に当たっては換気に充分に注意する必要があること、入居後、「強い臭いが
する」、「目がチカチカする」、「喉に渇きを覚える」などの症状をおぼえた時に
は、すぐに設計者、施工者へ相談して適切な換気の方法などについてアドバイスを
受ける必要があるとしています。
(問い合わせ先:(財)住宅・建築 省エネルギ−機構:Tel 03-3222-6690)
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また、(財)日本住宅・木材技術センター(Tel 03-3589-1788)でも平成10年3
月、木質建材環境問題委員会報告書として、「木質建材のホルムアルデヒドに関す
る放散性と安全対策」及び「保存処理木質建材に関する薬剤成分の揮散性と安全性」
を取りまとめています。
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