3 木材の乾燥についての質問と回答
Q 3−1 最近、住宅資材としての木材は、どのようなものが求められているのでしょうか。また、乾燥が重要と聞きますが。 |
A1
近年、住宅建築を巡る情勢をみますと、大工技能者の減少、消費者の住宅建築工
期の短縮に対する要望の高まり等から、木造軸組工法住宅(在来工法)においては
施工の合理化を図るため機械プレカットされた資材の使用が増えています。
しかし、プレカットされた材では、材が伸縮し寸法が変化したり、ねじれや狂い
が生じると、継ぎ手、仕口などの接合部分が合致しなくなり使うことができなくな
ってしまいます。
さらに、木材の狂いによるクロスのしわや切れ、床のきしみなどの住まい手から
のクレームを防止する観点から、狂いの少なく寸法精度の安定した木材が求められ
ています。
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一方、木材は伐採直後では多くの水分を含んでおりますが、日数を経るにつれて
次第に乾燥していきます。そして乾燥することによって収縮するという性質を持っ
ています。
このため、木材の寸法安定性を保ち狂いを少なくするためには、あらかじめこの
木材を使用する時の含水率(平衡含水率→大気中の湿度と温度に応じて木材中の水
分が増減しますが、やがて一定の平衡状態になる状態→日本ではおおよそ15%程度。
含水率とは、木材に含まれている水分を示す比率で、一般的には全乾重量に対する
比率で表わされます。)近くまで乾燥させる必要があります。
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乾燥された製材品は一般に「乾燥材」呼ばれており、JASの規格(日本農林規
格)においても含水率に応じて「D−15」、「D−20」といった表示により格
付けされています。
木造住宅を建築する場合には、工期の短縮を図り、住宅建築のクレームを防止す
るために、乾燥材を使うことが重要です。これは、住宅の性能規定化の時代にな
り、住宅の性能向上の意味からもますます重要性を増しています。
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乾燥材のメリットをまとめてみますと、おおよそ次のとおりです。
[1]寸法や型が変わりません。
木材が乾燥すると、寸法は段々に小さくなります。とくに含水率30%近くに
なると急に大きく収縮し、割れやそりが目立ってきますので、使う前に十分
低い含水率まで乾燥しておく必要があります。
[2]強度が増します。
木材は含水率が低くなる程、強度が増えます。
[3]クレーム(苦情)がなくなります。
住宅の壁のすき間やキレツ、クロスのシワ、床なり、建具の不具合などがな
くなります。また、乾燥材で建てた住宅は気密性や保温性がよくなります。
[4]工期が短くてすみます。
乾燥材していない材で住宅を建てると骨組みが終わってから、約2カ月間自
然乾燥が必要です。乾燥材は工期が短縮するので費用の面でも大きなメリッ
トがあります。
(注)乾燥経費は建築費の2%前後です。木材の強度が大幅に強くなること、工期
が短縮すること、住宅のクレームが少なくなり、長持ちすることを考えますと
トータルのメリットは計り知れないものがあります。
建築用材の適正含水率
注:この程度まで乾燥しておけば、さほどトラブルは生じないでしょう。 |
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