西暦2000年以降、循環型社会システムへのシフトが進みつつあり、廃棄物の処理についてもこれまでのリサイクル(Recycle=原材料としての再利用)に加え、リデュース(Reduce=廃棄物の発生抑制)、リユース(Reuse=再使用)の実行を要請している。
この循環型社会経済システムでは、天然資源の使用を抑制することが大きなテーマとなっているが、木材は化石・鉱物資源と違い、森林→伐採→植林→成長→森林と一定の期間を経て再生産が可能な循環型資源である。
しかも森林の樹木の成長過程においては、太陽の光、水、CO2(二酸化炭素)、土壌の養分を吸収しながら成長する。特に、人工林は、20〜30年生の若い時期に、二酸化炭素を吸収する能力が高い。このような森林の持つCO2を吸収し、固定する機能が地球温暖化を防止する効果があると注目されている。
成長した樹木を伐採し、用材として利用する場合においても機械鋸などによる加工エネルギーが少なく、建築材に使われた場合、建築物として使用されている期間中は材内に炭素を固定しており、他の材料と性質が大きく異なる有機性資源である。
廃木材のリサイクル化が高度化し、建築資材として大量に生産された場合、現在時点においても、森林の適正な維持に必要な経費がでない(製品価格が低価であるため、森林に還元される経済的コストが極めて低く、間伐を含む適正な保育・育林ができない)ため、森林の荒廃を招き、土砂崩れなどの自然災害が多く発生している中にあって、バージン製品との競合により、森林の循環に支障を及ぼす可能性がある。
従って、再生可能資源のリサイクル化、地域循環型システムの形成に当たっては、森林の成長に見合った利用(再生可能で資源が循環利用される範囲)を先ず、優先した中で、リサイクル化、循環利用を推進すべきものであり、エネルギーや堆肥利用のように消滅したり、土に還るものを優先的に考えるべきと思われる。