このページを  保存  お気に入りへ  印刷

木質バイオマスの動向について 


   

123456789

H15.4.17

(社)全国木材組合連合会

 

I 木材の3R(Reduce・Reuse・Recycle)の考え方

  1. はじめに
  2. 西暦2000年以降、循環型社会システムへのシフトが進みつつあり、廃棄物の処理についてもこれまでのリサイクル(Recycle=原材料としての再利用)に加え、リデュース(Reduce=廃棄物の発生抑制)、リユース(Reuse=再使用)の実行を要請している。

    この循環型社会経済システムでは、天然資源の使用を抑制することが大きなテーマとなっているが、木材は化石・鉱物資源と違い、森林→伐採→植林→成長→森林と一定の期間を経て再生産が可能な循環型資源である。

    しかも森林の樹木の成長過程においては、太陽の光、水、CO2(二酸化炭素)、土壌の養分を吸収しながら成長する。特に、人工林は、20〜30年生の若い時期に、二酸化炭素を吸収する能力が高い。このような森林の持つCO2を吸収し、固定する機能が地球温暖化を防止する効果があると注目されている。

    成長した樹木を伐採し、用材として利用する場合においても機械鋸などによる加工エネルギーが少なく、建築材に使われた場合、建築物として使用されている期間中は材内に炭素を固定しており、他の材料と性質が大きく異なる有機性資源である。

    廃木材のリサイクル化が高度化し、建築資材として大量に生産された場合、現在時点においても、森林の適正な維持に必要な経費がでない(製品価格が低価であるため、森林に還元される経済的コストが極めて低く、間伐を含む適正な保育・育林ができない)ため、森林の荒廃を招き、土砂崩れなどの自然災害が多く発生している中にあって、バージン製品との競合により、森林の循環に支障を及ぼす可能性がある。

    従って、再生可能資源のリサイクル化、地域循環型システムの形成に当たっては、森林の成長に見合った利用(再生可能で資源が循環利用される範囲)を先ず、優先した中で、リサイクル化、循環利用を推進すべきものであり、エネルギーや堆肥利用のように消滅したり、土に還るものを優先的に考えるべきと思われる。

     

  3. 古代から使われていた木材

    木材は軽くて丈夫であり、加工しやすいこと、湿度を調整し、断熱性が高く、独特のぬくもりを感じさせるなど石材や金属等と大きく異なる性質もつことから、古代から住居、道具、日用品、船、神社仏閣、橋等の建築物、エネルギーなどの様々な用途に使用されていた。また、縄文時代の頃から木の種類や性質を上手に使い分けして、適材適所に利用していたことが遺跡などから分かっている。エネルギーとしても薪、木炭として、昭和32年頃までは年間200万tの生産・消費量があったが、その後のエネギー革命で衰退した。

    現在の木材産業における製品加工は、図1〜2のとおり、断面の大きな丸太から、製材、合板、ボード類が生産されているが、加工時に副産物として排出される樹皮、おが粉、端材などについても製紙原料、燃料チップ等エネルギー源、バーク堆肥、畜産敷料、キノコ培地、炭化原料、ボード原料等として、リサイクル利用されている。表1

    図1 木材の細分化−木質材料の構成エレメント

     

    図2 代表的な木材・木質材料とその製造工程の概略図

     

    表1 製材残廃材の利用実態(3位までの用途と仕向率:単位%)

      第1順位の利用 第2順位の利用 第3順位の利用
    樹  皮 家畜敷料  (28) バーク堆肥(26) エネルギー(18)
    背  板 製紙用チップ(99)    
    のこ屑(おが粉) 家畜敷料  (68) エネルギー(14) 堆肥   ( 6)
    鉋  屑 家畜敷料  (38) エネルギー(32) 堆肥   ( 8)
    端  材 製紙用チップ(69) エネルギー(21) 小物製材 ( 6)

     

 

123456789

全木連webトップへ