岐阜、愛知、三重3県の全流域が対象。静岡県の天竜地域と長野県の県南地域からも森林組合や素材生産業事業体が参画しています。加工事業体は有力ヒノキ製材メーカーの(株)西村木材店(三重県松阪市)1社です。
三重県では森林組合系統のほか、主要な大規模山林所有者が参画しています。岐阜県では県森連が原木供給で中核的な役割を担っています。愛知県は東三河地域が主要な供給地となります。いずれの県でも原木市場による従来の木材流通機能を活用しつつ、付売や直送によるヒノキ原木の安定供給に取り組んでいます。
(株)西村木材店は最新鋭の製材設備や乾燥施設を供えた新工場を開設(平成19年度)しました。原木消費量を現状(平成17年度)の2万7,400m3から22年度には8万m3に拡大する計画です。主にヒノキ人工乾燥柱角・土台角を生産し、ハウスメーカー向けに販売しています。
ホルツ三河や岐阜県森連とも連携し、供給力を高めています。
参加事業体の素材生産性は、地域、地形、作業システム等で大きなばらつきがありますが、基本的には高性能林業機械を駆使した効率的な作業システムの導入を進めています。
三重県では大規模山林所有者が早くから高性能林業機械を導入しており、一層の効率化を図っています。小規模林家が多い地域については、団地化によって作業効率を高めています。
愛知県では平成16年度から進めている「林業あいちモデル・低コスト生産」の取り組みをさらに進めています。この取り組みは、スイングヤーダ、プロセッサ、フォワーダの3種類の高性能林業機械をセット化し、高密度簡易作業路(幅員2.5m以下)、集約化、高齢林分の列状間伐を組み合わせるもので、7.2m3/人日の労働生産性を目指しています。1セットの年間素材生産量は4,000m3程度を想定、18年度には県内に6セットの機械を導入しています。
この取り組みではヒノキ原木の安定供給・大規模加工を目的としています。ヒノキの場合、スギに比べて林分が分散している傾向があり、そのために集荷範囲が広域化しました(岐阜、三重、愛知の3県と静岡、長野の一部)。
(株)西村木材店では、従来から原木消費量の40%程度を原木市場の付売を利用して調達しており、今後はその比率をさらに高め、原木の70%を協定に基づく直送方式で確保することを目指しています。
具体的な方策としては、岐阜、愛知では森林組合系統の共販所との協定による取り引きを拡大する予定です。愛知の共販所(ホルツ三河)では付売による調達量を増やし、岐阜の共販所からは県森連の「システム販売」(岐阜広域モデル地域参照)を活用して原木を手当てしています。三重県では大規模山林所有者、原木市場(ウッドピア市売協同組合)、森林組合系統との協定による原木調達を進めています。
データベースは岐阜、三重、愛知3県の県森連が運営しています。森林施業のデータを正確に入力し、実用性の高い内容としています。
(株)西村木材店は平成19年度に最新鋭の製材設備・乾燥施設を備えた製材工場を新設し、生産能力を大幅に拡充させます。年間原木消費量は平成22年度で8万m3を目指しています。
製材ラインは新規開発されたもので、ワンウェイ方式により1シフトで約3,000本/日の丸太を製材することができる高性能設備です。乾燥施設は従来から使用している減圧中温乾燥機に加え、最新の高周波・蒸気複合乾燥機を導入し、乾燥性能を安定させるとともに、乾燥日数を半減させてコストダウンを図っています。乾燥の熱源には木屑焚きボイラーを導入し、従来の重油依存から脱却して燃料コストの引き下げを図っています。
主力製品はヒノキ人工乾燥柱角と土台角で、これらは基本的に直材から製材しています。ただし、山元と密接に連携し、適正な収益を還元するために直材だけでなく、曲がり材も込みで受け入れるため、これらは従来と同様に集成材用のラミナに加工しています。
製品は従来から取引関係にある有力ビルダーに商社を通じて販売するほか、地域ビルダー等の新たな顧客も開拓しています。高性能乾燥システムを導入することによって芯割れのない無垢の乾燥柱角を安定して出荷できる態勢が整うことから、特殊接合金物による金物工法住宅向けの販売促進にも取り組んでいます。
また、自社で製造したヒノキの柱角や土台角のほか、流域内の製材工場と技術提携し、品質を統一したスギ製品のOEM供給を受け、製品の供給力を高めるとともに多様なニーズに対応できる態勢を整えています。製品は商社ルートで販売しています。これによって中日本圏域における一大供給システムが動き出す計画です。
各県ごとの協議会のほか、3県の関係者による総合協議会を開催し、関係者間の合意形成に努めています。
基本的には有力国産材製材工場である西村木材店が製材の規模拡大を図るとともに、広い範囲の集荷地域から原木を安定して確保するためのシステムを構築するという構図になります。そのため、同社と各県森連、原木市場、森林所有者等との協定に基づく取り引きを円滑に進めることに注力しています。