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第1番目の調達方針に関しては、現在はこの購買計画、購買方針は、会員企業に対して、試行段階にあり、10月から正式に開始する予定である。この方針が信頼性を獲得できるのは、独立的な立場からの監査を受けるからである。つまり、外部の監査人に対して、会員企業が帳簿を開いて、その監査を受けるということを意味する。このようなことは、我々の失われた信頼性を取り戻すには必要なことである。そして、目に見える透明な方法で会員企業ができる限りの努力をしているということを示すものであると思う。この我々の努力の結果として、イギリス政府のほうでもこのような方針をTTFがとっていることを認知し、政府自身が買いつけ業者に対して、このようなものがあるということを伝えている。この方針は、我々のウェブサイト(http://www.ttf.co.uk/forests/responsible/)でも内容を紹介している。 2番目のインドネシアに対する行動計画については、TTFにおいては現状を調査するため16のインドネシアの合板、あるいは製材所に対し現状の分析研究の資金を提供した。その研究の結果、すべての製材所において、非常に基本的な合法性の基準を満たすのにも大変な困難に直面していることがわかった。この研究の文書の中には、秘密を保つという条件のもとに行なわれたので具体的な製材所の名前は挙げられていないが、研究の結果、わかった問題点に取り組む意欲だけは、どの製材所も等しく持っていたということはいえる。 そして、大変うれしいことに、インドネシアのサプライヤーの多くが、我々の研究によって、あきらかになった問題に製材所が取り組むことができるような行動計画を今つくっている。そして、TTFにおいては、現在オランダの木材業界団体と協力をして、共通の監査枠組みをつくり上げようとしている。 3番目のEUプロジェクトについて。これは、5年間にまたがり700万ユーロを費やして行う、インドネシア、マレーシア、カメルーン、ガボンなどから、合法的な木材を得るためのプロジェクトである。このEUのプロジェクトに加わっている中心的なメンバーは、イギリスのほか、オランダ、ベルギー、フランス、マレーシア、インドネシアの木材業界団体組織などである。そして、熱帯林基金がこのプロジェクトを実行するために名乗りをあげている。このプロジェクトが実行されたあかつきには、183の製材所から監査を受けた合法的な木材が提供されることになる。そして、追跡システムを持つサプライチェーンのうち15%ほどがこの木材を使用する状況が見込まれる。 このような現状調査の研究の成果をもとに、2005年から我々の会員に対して、新たなサービスを開始する予定である。独立した監査人と契約をすることにより、木材の合法性を監査・検証してもらうという制度を考えている。これは機密を保持した上でのサービスとなる。また、同じ問題に直面しているほかの国の業界団体とも協力して、このサービスを行う用意がある。 オランダでもインドネシアに対する行動計画というものを持っており、イギリスと同じような現地調査、また利害関係者とのコミュニケーション・プログラムがある。また、オランダでは、他にも合法性を検証するためのツール、手段、インドネシアの製材所2カ所が参加したパイロットプロジェクト(試験プロジェクト)を実施している。フランスにおいても、熱帯林行動計画を策定した。デンマークにおいては、熱帯林を買いつける際のガイドラインを採択している。ドイツにおいては、犯罪利益を取り締まる法制がある。そして、アメリカにおいては、いわゆるブッシュ・イニシアチブというものがある。 ここでTTFがインドネシアから得た教訓というものについても、お話ししたい。まず、イギリスだけでは取り組むことができない、パートナーシップが必要だということである。検証を受けた合法材は今や顧客からの要望であると、そのような状況にイギリスではなっている。 幾つかのイギリスの取引業者が、一時的に契約を停止させたというようなことがあったが、それはイギリスのあらゆるサプライヤーに対して、非常に強いメッセージを送ることになった。それに対し、多くのインドネシアのサプライヤーが、対応や取組みを始めている。インドネシアの製材所は、最新の合法的な基準をすぐには満たすことはできないが、だからといってインドネシアからの木材をボイコットすればいいのかということにもなるが、我々は関与することも重要であると思っている。製材所の側では改善することができると信じている。だから我々としては、こうした改善点というのを認知すること、そして、木材の合法性を確保していくこと、そのための段階的なアプローチが必要だと考える。 共通の監査枠組みというのは、合法的な木材調達を達成するための1つの方法だと思う。我々は、検証された合法材に対しては、一定の上乗せ料(プレミアム)というものがつけられてもいいと考えており、このような上乗せ料をつけることに関して、イギリス政府が積極的に動いてくれることを期待する。
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