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インドネシアの状況に関しては、残念ながら、私はニョトさんほど楽観的には考えていない。インドネシアの森林というのは、深刻な状況にあり、例えばカリマンタンの森林は、2〜3年ほどで皆伐されてしまうのではないかと私は考えている。そして、インドネシアの木材が逼迫していることにより、近年合板の価格が押し上げられている。 BRIKのシステムに対するTTFの考えをお話ししたい。BRIKについて、昨年、現地調査、重点研究の一貫としまして検証した。そこで問題点としてあがったのは、BRIKはまず第1に、業界から独立した存在ではないこと。第2点として、現在ジャカルタに立地している行政組織であるということである。今後はまず業界から独立した監査、そして現場に立ち入っての検査の実施が求められる。我々の結論としては、まずBRIKそのものは、合法性を獲得していくためには、非常に重要な基盤であり、今後も、木材の合法性を示すシステムにおいて、BRIKが発行した承認、証書というものをつけるように主張していくが、イギリスの市場においては、インドネシア現地で行われている合法性の基準以外にも、独立した監査システムが必要であると考える。それに向けて今年の9月にもインドネシアを訪問したいが、時間は限られておりこうしている間にインドネシアはマーケットシェアを失うことになるかもしれない。それを防ぐためには、我々の側で監査を行うということが必要になるかもしれない。 独立した監査システムを図式化したものを示す。監査を行うのは、現地で採用された地元の監査人である。そして、認証自体は政府から発行される。インドネシアで今年採択される予定の新たな合法性の定義に基づいて、現地で、これらの監査人が監査を行うことになる。
これから申し上げることが、いわゆる共通の監査枠組みを要約したものである。そして、製材所が、ある一定基準にまで上昇すること、改善することを助ける。市場から進捗状況が認知されることにより、段階的に達成できる段階を踏んで行われることになる。最も重要なことは、我々の市場がシステムに信頼を置くことである。我々が必要と考えている市場からの信頼を得るための要点は、国内法に適合した国際的枠組の活用、利害関係者との合意、行動計画と進捗状況の独立機関による監査、地元の監査人の認定、巨大市場(EU、US、日本、中国)による認知等である。 そして、統一された単一のシステムで、顧客に対してその内容を伝えやすいシステム、また監査が幾つもの段階で行われる、そういったシステムが必要である。こういったシステムを運営するための費用というのは、究極的には、木材の価格の中に含まれるべきであるが、貿易業者、取引業界、あるいは政府などの補助金を通じて、当初の資金的な補助は必要である。 では、日本がなぜこうしたイニシアチブにおいて重要なのであろうか。日本は、東南アジアにおいて、非常に強い購買力を持っているということが挙げられる。そして、また違法伐採の問題は、国際的な木材貿易の問題であり、木材業、木材取引の評判というものを、我々は高めていこうと考えていかなければならない。そのためには、教訓、あるいは経験を共有していく必要がある。また、共通の基準を開発していくために、いっしょにやっていく必要がある。合法的な材木、合法材のサプライヤーに対し簡単で一貫したメッセージを我々は一体として送っていきたい。 まとめると、第1に行動のためのパートナーシップというのは、あらゆるレベル(国際的・国内的にも)で必要不可欠である。インドネシアは、スタート地点が比較的おくれており、今後さまざまなことをクリアーしてやっていかなければならない。丸太から製材所に至る追跡の道筋をしっかりと把握するといった基本的な事柄を押さえておかなければならない。しかし、我々が見たところによると、インドネシアではいわゆる事業対事業、企業対企業の計画というのが、JASや表示システム・EUのCEマークに対する対応を始めたことと同様、うまくいっているというふうに見ている。だから、インドネシアは合法材への需要に対応することが可能だと考えている。こうした経験を共有することで、共通の監査枠組みというものをつくっていきたい。ところが、業界においては、それより上のレベル、いわば政治的なコミットメントも必要としている。FLEG、あるいはFLEGTというのが、そうしたコミットメント、確約を提供する母体になっている。イギリスが、覚書をインドネシアとの間で締結したように、日本においては、インドネシアとともに締結した覚書、あるいは共同声明のようなものが利用できるのではないかと考えている。東南アジアにおいては日本の購買力が最も強いが、アフリカに対してはEUが最も購買力が強い立場にある。 次に、日本ができることについてのご提案を申し上げたい。日本政府もほか国の政府がとったように、グリーンな木材を調達する方針ということを採択することもできるのではないか。そして業界においては、任意のものでも行動規範を採択し、また責任ある購買方針を採択することができる。 日本の取引業者も、EUのサプライヤーに加わって監査、あるいはサプライヤーの査定の行動、イニシアチブに加わるといったことで、日本の木材業界が木材の合法化に関する国際的なプロセスに、より積極的に取り組んでいくこともできる。 インドネシアにおいては、本年8月にアジア森林パートナーシップの会合、9月に木材の合法性の定義に関するワークショップがひらかれる。 最後に、違法伐採の問題に関しては、非常に実践的な事業上の解決策というものがあると思う。EUと日本は、お互いに協力することにより、アジアとアフリカにおける我々の国のサプライヤーが、国際的な合法材への需要を満たすための活動を支援することができると考えている。
(文責:(社)全国木材組合連合会 加藤) |