この表のポイントは、日本の国家財政であるが、今年度の日本の財政規模は81兆7千億円の予算に、41兆7千億円の税収なので、足りない分は40兆円。財政政策が積極財政とか緊縮財政とかいうが、その判定基準は、財政赤字を増やす政策を積極財政、財政赤字を減らす政策を緊縮財政という。
右から4番目、下から6番目にマイナス31,944億円とある。これは2000年度、森政権で3.2兆円の赤字を減らした。これは過去20年間で一番強い緊縮政策をとった。その下の2001年度の当初予算、マイナス66,831億円、これは小泉政権の当初予算で激烈なブレーキを踏んだ。その結果、景気がぼろぼろになってしまった。
右から3番目の公債金収入は国債発行額であるが、1997年の184,580億円は橋本政権が財政を立て直そうとした時に18兆円の国債を発行をした。ところが2年後に37兆円になっている。つまり、橋本政権の失敗は、財政赤字を減らそうとしてブレーキを踏み込んだら景気がぼろぼろになってしまい赤字がたった2年で2倍になってしまった。
2001年度の当初予算国債発行28兆3千億円であったが、一番下の今年度の数字を見ると36兆円、小泉政権の緊縮政策も赤字を減らしているのではなく、赤字を増やしていることになる。
私は、本当の財政再建を目指すべきであると主張している。それには3本の柱がある。
「景気回復無くして財政健全化なし」である。1990年度の税収は60兆円、2000年度の税収は50兆円、今年度の税収は41兆7千億円となっており、日本の国税収入は13年で18兆円も税収が減っている。
その最大の理由は「不況」である。不況が深刻化する結果、黒字の会社が赤字になり、赤字になれば税金を払わなくなる。税収が減る。つまり、不況を促進していることが赤字拡大の最大の要因である。
本当に赤字を減らそうとするならば、景気を盛り上げることが大切である。経済あっての財政である。経済が作り出した果実の一部を政府がもらって財政活動をやるので、経済の木を枯らしてしまったら財政が成り立つはずがない。
2つ目は、日本の社会保障の財政は今のままいったら完全に破綻する。年金、医療、介護であるが、再設計しなければならない。結論から言うと、消費税の引き上げは避けて通れない。現在5%を15%位まで上げることをすれば財政再建は可能である。
それは、皆いやな話であるが避けて通れない。景気がしっかり軌道に乗った後で1年当たり1%を限度に上げていく。最終的には15%位にする。このようなことをはっきり打ち出していく。
3番目に、そのうよう国民の負担の増加を求めるためには、官の部分の無駄を取り除くこと、地方公共団体の統合や天下りの廃止などをしっかり打ち出していく。
景気対策を打つ時にまた公共事業をやるのかという批判が出てくるので、公共事業はやるが、無駄な公共事業をやめる。例えば、皆さんが家を建てるとした場合、決め方が大事である。建てるか建てないか決めること、建てると決めたらいつ建てたらよいかということは別な問題である。
借金はよくないので全額現金払いで79歳になって家を建て、翌年亡くなったら1年しか住めないことになる。30歳の時にお金を借りて家を建て、79歳で全額返済が終わって、翌年亡くなれば50年住める。公共投資で本当に作る必要があるのであれば、できるだけ早く作ったほうがよい。
いつ作ったらよいかというと、不況が深刻な時は、金利が安くて、工事代金も安い時でもあるので、不況が深刻な時に作ったほうが安上がりでできる。そういう意味で、公共事業が後だというのは間違いである。それ以外に減税や出産育児の支援なども重要である。