Q1 金利を上げる政策をとったほうがよいのではないか。また、国連分担金やODAの負担を減らすことが重要ではないか。
A1 GDPの5割以上が個人消費であるので、個人消費がしっかりする必要がある。金利を上げることは家計部門にとってはプラスであるが、企業部門にとっては金利が上がるのでマイナスとなる。金利を上げた場合のプラスの効果とマイナスの効果を差し引けばマイナスの効果の方が大きいというのが一般的な見方である。
日本の国連分担金とかODAの話であるが、私は今の日本の実情からすればもっと減らしてもよいと思う。本来は、日本経済の力で立ち上がり、健全な経済状況を確保して、その中で世界に必要な貢献をしていく。
今は、経済運営が失敗して経済が疲弊している現状からすれば分不相応の支出を世界に対してしている。経済を早く立ち直らせること、只、安保の常任理事国になっていないこと、外交面でも自らの足で立って、国際社会で発言すべきとことをきちっと発言していくことが重要ではないかと思う。
Q2 講演の中で消費税のことに触れたが、日本経団連でも今年のビジョンとして、消費税の引き上げについて言及しているが、消費税を上げるメリット、年1%づつで15%ということであるがもう少し具体的に聞きたい。
A2 個人消費が非常に萎縮している。その大きな理由として、日本の先行き不安、経済がしっかり回復すること、もう一つ大きな問題は、日本の財政不安がある。
これから高齢化が進む中で老後に年金がしっかりもらえるのか?、医療や介護がしっかりしているかどうか。それは今の仕組みのままでは破綻してしまう。この状態を放置すると、当然、個人は将来の年金や財政が破綻するので自分でそろえなければならなくなれば、今を切りつめて貯蓄に回すなどということになる。
そういう意味では、長期的に日本の財政を立て直すための具体的なビジョンが示されることが必要になり、今の日本の実情を考え、将来の社会保障を考える。社会保障は広く国民全体が恩恵を受けるのであるから、財源としては、ごく一部の高額所得者に依存するのではなく、薄く広く負担を求めることが必要になると思われる。
そうすると消費税を社会保証関連の目的税とし、それ以外のものには使わないことをはっきり決めて、消費税をある程度引き上げることで賄っていき。それにより将来日本の財政は破綻しないという安心感をしっかり示していくことが必要でなると思われる。
問題は、所得の低い人にとってし、15%程度としてもこ大きな負担になってくるので、所得の少ない人の消費税は、確定申告によって消費税が還付できるような低額所得者に対する何らかの対応策が必要である。
問題は、景気が悪いときに消費税を上げれば景気の腰を折ることになる。96年に私が提案していたのは、97年4月に消費税を1%上げて、98年4月にもう1%上げることである。1%づつ2度に分けて上げ、それ以外の増税はしないことであった。
そうすると1年あたり2.5兆円の増税である。あの時に3.4%の成長であったので2.5兆円の増税で、GDPの成長率は0.5%下がるが3%そこそこの成長は残る。景気の腰は折らないで済む。
今後の消費税については、景気が軌道に乗った段階で1年に1%を限度として上げる。そうするとマックス2.5兆円の増税になる。それ位、慎重な時間をかけての調整ということで進めば景気を壊さずに財政再建の道を切り開いていける。